MRIインターナショナルによる巨大詐欺事件
- 2015.02.18
- 2019.10.06
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MRIインターナショナルによる巨大投資詐欺事件の記事です。
日本の顧客から投資資金を集めていた米金融業者のMRIインターナショナルが資産の一部を消失した疑いがあることが証券取引等監視委員会の調査で明らかになった。
金融庁は26日にも業務停止命令などの行政処分を科し、顧客資産の保全に乗り出す。
顧客資産の総額は1300億円に達する可能性がある。
出典:日本経済新聞
MRIインターナショナルは、1998年以降、米国の病院から診療の債権を安く買い取り、高く売る事で利益を得るという謳い文句で、日本人約8,700人から1,300億円以上の資金を集め、その大半を消失させていました。
MRIインターナショナルの行為はねずみ講詐欺商法と認定
資産運用会社の【MRIインターナショナル】(本社ネバダ州ラスベガス)が日本の顧客資産を消失させたとして、米証券取引委員会(SEC)は、2013年9月に同社とエドウィン・ヨシヒロ・フジナガ社長(68)の資産凍結と出資金の返還を求めて提訴しました。
米証券取引委員会(SEC)などによると、MRIインターナショナルは1998年以降、6%以上の高配当をうたい、米国の診療報酬請求債権(MARS)回収事業に投資する金融商品を日本の投資家らに販売。
しかし、出資金はフジナガ社長の高級車購入や養育費の支払いなどに充てられたということです。
ラスベガスの連邦地裁は、提訴直後には、MRIインターナショナルとフジナガ社長の資産凍結を命じ、2014年10月には、一連の事件を「ねずみ講による詐欺商法」と認定しMRI側に利子を含め、約5億4400万ドル(約640億円)の返還を命令。
更に、MRIとフジナガ社長に対し、それぞれ2000万ドル(約23億円)の罰金を課しました。

元本保証との誘い文句で顧客を勧誘
MRIインターナショナルは、診療報酬を保険会社に請求できる権利を債権化した金融商品(MARS)を米国で扱い、元本保証に加え年利6.0~8.5%で資金を運用できると宣伝し、富裕層を中心に顧客を集めていました。
また宣伝活動も余念がなく、広告を経済専門誌や全国紙に出したり、会報誌には芸能人を登場させるなどして、信頼できる投資会社であるということの印象を与えて来ました。
MRIインターナショナルのウェブサイトによると(現在は削除済み)2013年末時点で約8700人から約1365億円を預かっていると公表しています。
確かに、「診療報酬請求権債権投資(MARS投資)」(商品名:「MRIシリーズ セレクトA」)と言われるもっともらしく聞こえますし、経済専門誌にも登場するほどですから、信頼できる会社といった気にさせられます。
しかしながら、投資会社とは名ばかりで、実態は自転車操業で、業界では以前から怪しい金融商品として懸念する声が強かったと言います。
さらに、この手のケースと言えば『元本保証』+『高利回り』と言う投資詐欺の典型的とも言える誘い文句。
MRIインターナショナルも『元本保証』と年利6.0~8.5%の『高利回り』を謳っていました。
少なくとも、投資の経験がある方なら、この『元本保証』と『高利回り』を約束するなど到底不可能であることはお分かりのはず。
しかし、世界的に見て投資の知識の浅い日本人は特に『元本保証』という謳い文句に弱いとされ、今回の詐欺もその弱さに突け込んだ手口と言えます。
元本と利息を支払い信頼度を高める
先程の『元本保証』、『高利回り』以外にも、投資詐欺の常套手段と言える手口があります。
それは、募集初期は、元本と利息を支払うことで、本当に還元されるという信頼度を高めることです。MRIインターナショナルでもその手口が使われています。
円建てで150万円投資し、5年後の満期に元利合わせて206万円が戻ってきたという例もあり、診療報酬請求権債権投資(MARS投資)」は、最初はきちんと投資家に元本と利息を戻すことで、まんまとMRIインターナショナルの思惑通りに『この商品は本物だ』という噂が広まり、信頼性を高め、多くの顧客集めに成功したのです。
しかし、実態は自転車操業ですので、返還されたお金は投資による利益から還元されたお金ではなく、他の顧客からの出資金から捻出されたものでしかありません。
その為、【途中解約ができない】と言った条件を付けられます。これも、詐欺事件の常套手段といえる手口です。
MRIインターナショナルのような投資詐欺に掛からないために
MRIインターナショナルに限らず、投資詐欺は意外にも身近に存在するものです。
投資詐欺に掛からない為には、そもそも投資をしないというのが一番の方法でしょう。しかし、銀行に預けても利息が0に近い状態では、資産運用という意味では物足りなさもあります。
日本人は、販売会社(銀行・証券)や運用会社のセールストークを鵜呑みにして買ってしまう方が多いそうです。
しかし、そう言ったセールスの大半は、メリットばかり強調し、デメリットはあまり目立たない場所に、小さな文字で書かれていてパンフレットではなかなか気がつくことができませんし、セールストークも相手はプロですから契約を取るために言葉巧みに誘って来ます。
もちろん、それらを踏まえてチェック能力や専門知識があなた自身にあれば良いですが、無ければ独立・中立の投資助言会社に相談して、評価分析をしてもらうのも一つの手です。
イギリス人では70%以上が独立した投資アドバイザーの助言に頼り金融商品を購入するそうです。
日本は、金融後進国でこのような投資詐欺が後を絶ちません。
あなたの大切な資産を守る為にも、これらの機関がある、利用するということも知識の一つとして覚えておいてください。
投資はリスクが付き物です。ですから、『元本保証』『高利回り』を保証する投資商品にはくれぐれもご注意ください。
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MRIインターナショナルの事件のその後は?判決が言い渡されるも…
MRIインターナショナルの投資詐欺事件について、2019年5月にラスベガス連邦地裁で判決が出ました。
MRIインターナショナルの元社長であるエドウィン・ヨシヒロ・フジナガ被告に懲役50年を言い渡したとの事です。
逮捕当時に被告は68歳ですから、一生塀の中という事になります。
被害弁護団によると、公判の中でフジナガ被告は「まじめにビジネスをするつもりで、騙すつもりはなかった」と主張したようですが、裁判官は、「減刑を認める理由は見当たらない。被害者を騙し続けた。」と全面的に被害者を支持したとの事です。
しかし、フジナガ被告はこの判決を不服としてサンフランシスコ連邦高裁に控訴したようです。
最終的な刑の確定はしていません。また、フジナガ被告と同じく起訴された日本事務所の元幹部2人の公判はまだ始まっていないようです。
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