欧州(EU)でFXのハイレバ、取引ボーナス禁止!バイナリーオプションは完全撤退
- 2018.09.03
- 投資関連ニュース/コラム
- EU バイナリーオプション, EU レバレッジ規制, トレーダー, 海外業者

欧州(EU)の機関である欧州証券市場監督局(ESMA)のFX、CFD、バイナリーオプションなどの金融商品取引の規制内容が見直され、2018年7月30日からの実施となりました。
かなり厳しいものになると当局も示唆していましたし、予想もされていました。
- バイナリーオプションの全面禁止
- 最大レバレッジの引き下げ
- ボーナス、キャッシュバックの禁止
- ゼロカットシステムの法制化
以上が今回決定された主だった規制の一部です。
欧州証券市場監督局(ESMA)は、は、欧州連合の専門機関の一つであり、欧州連合における金融規制機関として機能するべく、欧州証券規制当局委員会(CESR)を母体に2011年1月1日に設立されました。
日本でいう金融庁のような存在です。
欧州(EU)ではバイナリーオプションは全面禁止
欧州証券市場監督局(ESMA)の決定事項の一つ目は、欧州(EU)でのバイナリーオプションの全面禁止です。
欧州(EU)圏内でのバイナリーオプションに関する広告や商品の販売等、営業の一切を行うことができません。

EUのバイナリーオプションに対しての影響力はとても大きなものであることからも、バイナリーオプションという金融商品そのものを潰しに掛かっているという見方もあります。
日本に広告を出している海外のバイナリーオプションは数多くあります。
【バイナリーオプション関連のトラブルが急増中!】でも述べている通り、日本の金融庁への登録がされていない業者が多々あり、トラブルも報告されていることから、国民生活センターが注意喚起を行なっているほとです。
https://www.freestyle2.net/archives/7537
海外のバイナリーオプションの多くは、EU圏であるキプロスに拠点を構える業者で、これがEUのバイナリーオプションに対しての影響力はとても大きいと言う理由です。
ざっと挙げると、
- 24オプション
- トレードラッシュ
- スマートオプション
- VIPオプション
- オプションビット
があります。
キプロスは、トルコの南の東地中海上に位置するキプロス島の大部分を占める共和制国家で、EU加盟国になります。
欧州(EU)ではバイナリーオプションはギャンブルという見解
当然、今回の応酬証券市場監督局(ESMA)の決定の対象となりますので、キプロスを拠点として活動するバイナリーオプション専門業者は営業ができなくなり、廃業に追い込まれることになるでしょう。
【Apple App Storeでのバイナリーオプションアプリを禁止】で紹介している通り、Appleではバイナリーオプションに関するアプリの開発、app storeへの登録を禁止し、【フェイスブック 仮想通貨・ICO・バイナリーオプションの広告全面禁止を決定】で紹介している通り、Face bookはバイナリーオプションの広告を禁止しています。
【結局バイナリーオプションは流行らなかったのか?廃れたのか?】でも書いている通り、世界的に見てもバイナリーオプションは縮小傾向にあり、業者の活動が確実に狭められて来ていた中で、今回のEUの決定は、バイナリーオプション業界に大きな打撃を与えることになるでしょう。
今回がEUが下したバイナリーオプションを規制ではなく、禁止という決定はバイナリーオプションを投資商品として見なさず、ギャンブルと捉えていることが背景にあると言われています。
バイナリーオプションは、業者対トレーダーの取引で、運営を行うために業者が儲かる仕組みとなっています。
一時は勝てても、結局は胴元である業者が儲かるのがバイナリーオプションで、この図式はギャンブルと同じです。
投資家保護の観点から、規制でトレードを制限するのではなく、禁止にして金融取引に見せかけたギャンブルを排除するのが今回の決定です。
レバレッジの規制 ボーナス、キャッシュバックの禁止
レバレッジに関しては、日本でのFXトレードに対するレバレッジ規制は、最大10倍まで引き下げるという見直し案は見送られたという報道があったばかりです。
これは大手証券会社やトレーダーからの強い反対論によるものですが、しかしながらレバレッジの最大倍率はこれまで2回引き下げられた経緯があります。
今回の、欧州証券市場監督局(ESMA)の新規性では、主要通貨ペアは最大30倍、マイナー通貨ペアは20倍と決定されました。
また、初回入金ボーナスやキャッシュバックも一律全面禁止という規制も盛り込まれています。
ゼロカットシステムの法制化
消費者保護の観点からすると、このゼロカットシステムの法制化が今回の欧州証券市場監督局(ESMA)の決定事項の中で1番大きな項目かもしれません。
ゼロカットシステムとは、利用者の損失負担はあくまで投入証拠金までとし、急激な相場変動等により、それ以上の損失が出ても追証の負担を求めないというものです。
これまでも、マイナスの証拠金の追証を求めない業者はありましたが、それは業者の裁量によるものでした。
しかし今回の規制では、これを正式に法制化し、EU圏で活動するすべての業者が履行しなければならなくなりました。
日本への影響はあるのか?
今回の欧州証券市場監督局(ESMA)の決定が日本にどのような影響を与えるのかは現在のところ未知数です。
レバレッジについては、日本と変わらない倍率ですし、10倍まで引き下げる案が見送られたばかりですので、影響は無いと言っても良いでしょう。
ゼロカットシステムの法制化は、日本当局はどう出るか見ものです。業者は反対するでしょうし、トレーダーは大歓迎です。
急激な相場の暴騰、暴落は予測不可能ですし、そのような乱高下の激しい相場ではトレードシステムが健全に稼働していても約定できない可能性もありますし、価格が飛んでしまう可能性もあります。
記憶に新しいのが、スイスフランの大暴落です。この時は、ロスカットも強制ロスカットも機能せず、また価格が飛んでしまったことから証拠金がマイナスとなったトレーダーもたくさんいました。
関連記事:スイスフラン(CHF)の為替大暴落ショックについて
この時、顧客の多大なマイナスの追証を肩代わりしたFX業者がいくつも廃業せざる終えない状況となりました。
このように、ゼロカットシステムの法制化は業者からすると廃業と隣り合わせにあり、リスクヘッジのしようも無い状態です。
実は金融庁が行う有識者検討会の中で、このゼロカットシステムは議題として取り上げられています。
その中で顧客であるトレーダーからすると、証拠金を上回る損失を負う必要がないことから、損失を顧みずリスクの高いトレードを誘発する可能性があると言う意見があったり、未収金を嫌うFX業者が恣意的なスプレッドの拡大により、ロスカットを発動させる自体が発生する可能性が指摘されたりと、慎重な検討が必要であるとされています。
金融庁と業者とトレーダーである利用者保護の観点からどのような方向性になるのか今後に期待しましょう。

バイナリーオプションについては、私も当サイトで散々申し上げていますが、丁半博打の類の商品です。
つまりギャンブルであるとの認識です。
日本は言わずと知れたギャンブル好きな国民性です。(皆が皆ギャンブル好きであるということではありません。)
日本のギャンブル依存症の状況は、決して楽観視できるものではなく、厚生労働省が、平成29年度に全国の男女1万人を対象に行った調査では、日本でこれまでにギャンブル依存症が疑われる状態になったことがある人は、成人の3.6%にあたるおよそ320万人いると推定されています。
同じ指標で行われた海外の調査と比べると、もっとも高かったのがオランダで1.9%、次がフランスの1.2%でした。
このことからも、ギャンブルが好きで依存しやすいことが伺えます。
世界的企業の広告禁止、アプリの開発、提供の禁止やEUによる全面的な禁止という流れの中で、日本はどのような方向に向かうのでしょうか?
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